ピオレドール生涯功労賞を受賞され、世界的に有名なアルパインクライマーの山野井泰史さんの最愛の奥様でもあり最高のクライミングパートナーでもある、ご自身も世界有数の山々を登られているものすごい経歴の持ち主の山野井妙子さん。
その妙子さんの1日に密着した動画が山と渓谷チャンネルで公開になった。
昨年に発売になった妙子さんの半生を綴った『凪の人』の記念動画らしい。
凪の人 山野井妙子 | 柏 澄子 |本 | 通販 | Amazon
おそらくお2人がお住まいの伊豆の海を上から撮ったと思われる映像から始まる。
凪というのは風が止んで海や湖の水面が鏡のように静まり返り、波が立たない穏やかな状態のことをいう。
そのことの比喩として気持ちが落ち着いていて、穏やかな様子を表したりもする。
渋谷にある有名なラーメン店『凪』を思いついてしまう人もいるかも。
私もその1人。
動画のはじまり、外はまだ薄暗い朝の台所から心地よいリズムの音がする。
朝がニガテな私は幼い頃からこの音がしてくると無理やり朝を迎えに行かなくてはならない感覚になる。
今は歳のせいか朝がそこまできつくなくなってきた。
歳を取るのにも得することがあるもんですね。
次第に部屋の温度と湿度が上がるのが映像から伝わってくる。
湿気を帯びた空気は水分を含んで少し重たく、薄い水の中にいるように感じる。
2人の朝には互いに強制ではないルーティンが存在しているようだ。
窓から海の波をみて風と気温を感じ取る。
きっとその日の過ごし方もその時におおよそ決まるのだろう。
畑には季節の果物や野菜。
食卓にももちろん並ぶ。
食からも季節や畑のことが感じられる。
私も小さい体験農園を数年していたことがある。
土の匂いや硬さは季節によって変わることもはじめて知った。
畑の作物はあまり便利にはならないようになるべく自分たちだけの力で育てているそう。
年齢には誰も勝てないから身体の衰えとともに補う程度に便利な力を借りる。
無理はしない。
今の時代、何事もすぐ気になる、すぐに調べる、すぐに理解する、すぐに解決する、すぐにやめる、すぐに次にいく。
少し前に地方の山深い村に長期密着取材した『のさり』という番組を観た。
のさりとは天から授かるもの、大漁や人との出会い、病気や災害、良い悪いこともすべては運命であり生きる糧にする前向きな考え方。
不思議と2人の生活を観ていたらふとその言葉が思い浮かんだ。
大きな挑戦をし手足の指を数本失った2人。
そのことに嘆くわけでもなく、そこからさらにできることを探して挑戦をしている。
しかも、今は年齢に合わせた調整も重ねている。
むしろ、前よりすごくなっているのではないか?とも思う。
私なんて常に便利と時間の隙間を求めるラクなことしか考えていない。
体験農園で学んだ知識を活かしてやろう!と意気込んだ家庭菜園ですら放ったらかしにしてしまい鬱陶しい虫たちの無料食べ放題バイキングにしてしまう。
ちなみにお茶っ葉の摘み取りは息子の方が上手い。
息子は摘みたてのお茶っ葉を蒸すとピーマンの匂いがするとも言っていた。
妙子さんがクライミングをしているシーンはいつ観ても驚く。
泰史さんの映画『人生クライマー』で凍傷の画像を観たときにこの後の生活はどうなるんだ?と心配になってしまった。
だけど、2人の姿を観ていたら気にならなくなってしまった。
自然に忘れていたくらい。
おそらく並々ならぬ努力やトライアンドエラーがあったに違いない。
そのことを時間をかけて受け入れてきたからなのかもしれない。
いや、実は気にしていない?
素人の私には想像ができない。
泰史さんがクライミングをするために凍傷で厚くなった指をハンマーで叩き破りたいと言っていたシーンもあったけれど…。笑
数年前に奥多摩から伊豆へ移り住んで風を感じられる高台のご自宅は陽が当たり柑橘が育つには好条件。
食べきれない分は周りの人たちと分けっこしているのかな。
何が贅沢で何が普通なんて人それぞれだから絶対にこれが正解なんてことはないと思うけれど、今は何かと意識した個人が刺激となることが多すぎる。
凪と聞いて穏やかな水面をイメージしていたけれど、もしかしたら雄大さや太く力強い支えとなる何事も受け入れる広さのことをいうのかもしれない。
とにかく、ふとした瞬間に笑うお2人が素敵なので観てほしい。
いつかお話会とかがあれば家族で参加したいな。
まず、読んでいない凪の人を読みます。
それでは、健康で安全に。